もはやバッシングが止まりません。俳優の佐藤浩市氏が、映画『空母いぶき』にて自身が演じる総理大臣役について語った発言がが大炎上しています。
一体何故、単なるインタビュー記事の発言が、ここまで批判を浴びる要因になったのでしょうか?
インタビュー記事の”発言”とその問題点について整理していきます。
インタビューは、佐藤が出演する24日公開の映画「空母いぶき」で自身が演じる総理大臣役について「彼はストレスに弱くて、すぐにおなかを下してしまう設定にしてもらった」と発言。ネット上ではこれに対し「病人への思いやりがない」などの声が上がった。また、安倍晋三首相に「潰瘍性大腸炎」の持病があることから「首相を揶揄(やゆ)している」との指摘も相次いだ。
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批判を浴びる要因となった発言
まず、批判を浴びる要因となった発言から見直していきましょう。
以下のツイッターにて、漫画誌「ビッグコミック」に掲載されている俳優の佐藤浩市氏のインタビュー内容が載っています。
映画『空母いぶき』で総理大臣垂水慶一郎役をやる佐藤浩市さんのインタビューに「安倍総理の病気を揶揄するな」「反日役者」「反日映画」とか言って激怒している人たちがいるみたいだけど、単に役になりきるために設定を追加しただけだろ。 pic.twitter.com/rch9Zwg1sY
— ロジ (@logicalplz) 2019年5月13日
このインタビュー内容で分かる発言を要約します。
- 体制側の役柄(総理大臣役)を担うのに抵抗感があった
- 自分ならどういう首相を演じられるか監督やプロデューサーと練った
- 結果、首相の役柄を”すぐにおなかを下してしまう設定”に変更した
問題発言とされるのは、首相の役柄を相談した末に、”すぐにおなかを下してしまう”という設定に変更した点です。
何故、この点が問題視されるかというと、現首相である安倍晋三首相も持病である”潰瘍性大腸炎”を患っている為、嫌でも連想させてしまうのです。
なので、映画の役柄と現実の首相の持病が重なるとして、必然的に揶揄しているという批判に繋がっているのです。
「彼(首相)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです。だから、トイレのシーンでは個室から出てきます」と回答。これが潰瘍性大腸炎の持病を持つ安倍晋三首相を揶揄している、さらには病人をバカにしているとネット上が紛糾。もはや手が付けられないほど大炎上しているのだ。
潰瘍性大腸炎とは
ところで、”潰瘍性大腸炎”とは一体どんな病気なんでしょうか?
ちゃんと映画の設定である”すぐにおなかを下してしまう”現象と同じ症状が起り得るのでしょうか?
調べてみると、確かに”潰瘍性大腸炎”は、下痢や腹痛などの症状が見られる病気なので、映画の設定とマッチしていることは確かです。
潰瘍性大腸炎とは大腸に無数の潰瘍ができ,良くなったり悪くなったりを繰り返し,何年にもわたって続くやっかいな病気です.
(中略)
潰瘍からの出血や蛋白質の漏れ出しがおこり,便に粘液と血液が混じりあったような粘血便や下痢,腹痛,食欲不振,体重減少などがみられます.また腸管の他 にも口の中にアフタ(潰瘍)ができたり,皮膚が硬く赤くなったり,眼に炎症を起こしたり,全身の関節炎になったりします.
安倍晋三首相は本当に”潰瘍性大腸炎”の持病持ち?
次に確認しておかなければいけないのが、本当に安倍晋三首相は”潰瘍性大腸炎”の持病持ちか?ってとこです。
この大前提が崩れると発言も批判も的外れになりますからね、一応確認します。
これについては安倍首相自身が、2014年1月に行った党首討論にて持病について認めています。
「いままでの生涯で、いまが一番健康です。持病の潰瘍性大腸炎には、中学卒業時からずっと悩まされてきましたが、画期的な新薬ができたお陰でいまはまったく問題なく元気になっています。総理としての私の一日の日程を見ていただければ、元気であることにご理解いただけると思います」
以上の確認から、”お腹をすぐ下す”発言と”潰瘍性大腸炎”、そして安倍晋三首相の3つが繋がることが確認できました。
各方面から大バッシングの嵐
確かにここまで設定と発言が重なると、どう考えても揶揄していると見られても不思議ではありません。
というかむしろ、自然な連想と言えます。
インタビューでは、監督やプロデューサーと話し合って決めたと記載されているので、安易に設定したわけでもないでしょう。
ということは製作側が意図的に、日本の首相を連想させるような役柄を設定したと見るのが普通ですね。
これについては、各著名人から大バッシングの嵐が吹き荒れています。
百田尚樹ツイッター
三流役者が、えらそうに!!
何がぼくらの世代では、だ。
人殺しの役も、変態の役も、見事に演じるのが役者だろうが! https://t.co/UReRTd6KNe— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2019年5月12日
私は自分の作品の映画化に関して、キャスティングに口出ししたことは一度もない。
しかし、もし今後、私の小説が映画化されることがあれば、佐藤浩市だけはNGを出させてもらう。 https://t.co/bKAJf7dYgC— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2019年5月12日
高須克弥ツイッター
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2019年5月12日
見城徹(幻冬舎社長)ツイッター
佐藤浩市さんは何でこんなこと言ったんだろう?三流役者だとは思わないが、百田尚樹さんの言う通りだ。大体、そんなに嫌なら出なければいいだけだ。しかも、人の難病をこんな風に言うなんて。観たいと思っていた映画だけど、僕も観るのはやめました。 https://t.co/0MH3ApMetH
— 見城 徹 (@kenjo_toru1229) 2019年5月12日
批判では、主に『役を演じるのに抵抗があるなら出なければいい』『一役者が原作を捻じ曲げるような設定変更を促すな』と言った趣旨が多いですね。
確かにインタビュー内容から、佐藤浩市氏が首相の役柄設定を変えてもらったのは事実です。
あとは、その取り方が問題ですね。
一部では役になりきるためという擁護も
一部では、インタビュー全文からとても現体制に対する批判とは思えないという発言も。
ビッグコミック『空母いぶき』佐藤浩市インタビュー全文を読んでみた。つまり弱さを抱えながらも、背負うものに対する責任の重さから、成長する総理像を演じるため、キャラクター設定を強化したわけだ。「反体制」や「現首相への揶揄」で炎上する発言だとは到底思えない。この国の“世間”は恐ろしい。 pic.twitter.com/iPJkOvXYRK
— 清水 節 (@Tshmz) 2019年5月13日
この言い回しだと佐藤浩市演じる内閣総理大臣は、「嗤うべき愚かな権力者」というよりも「国家の危機に臨むリーダー」としてヒーロー側の位置付けっぽく読めますね。 pic.twitter.com/x9mcFxBUZG
— palomino3rd (@palomino3rd) 2019年5月12日
たまたまいちはやく観る機会があったのでツイしてみますが
映画『空母いぶき』において日本国首相を演じた佐藤浩市の演技には
安倍晋三をバカにするようなところは微塵もなかった。
その虚構に準じた独自のキャラクターとして苦悩したり決断したりしていた。— Ryo Chiura (@r_chiura) 2019年5月13日
確かに役柄設定から、安倍首相を連想してしまうのは仕方ないですが、それが明確な『批判』に繋がるかと言えば、そこまではインタビューで言及してないですね。
むしろ自分がやるんだったら首相はこう演じたいんだっていう意志の表れだと思います。
要はここを好意的にとるか否定的にとるかの違いです。
役柄設定を好意的にとるか?否定的にとるかの違い
好意的にとるならば、役を演じようと自分が出来る首相を懸命に模索したと言えますし、
否定的にとるならば、『一役者が原作を捻じ曲げるな!』『演じたくないなら降りろ!』『持病持ちを馬鹿にしてるのか?』と、いくらでも批判が湧き出てくる感じです(汗
否定的にとる人の意見の多くは、"原作が素晴らしいので、実写版で捻じ曲げられたくない"といった意見と、
もう一つは、”病気に対して揶揄されたのが許せない”、といった当事者の気持ちを軽く見られた感じに嫌悪感がすると言った声が聞かれます。
佐藤浩市さんの真意は[安倍首相を演じるのに抵抗感があった]ということだと思う。それを[体制側]などと婉曲に言うからおかしなことになる。だったら出演を断れば良かった。脚本変更を要求して、病気を笑い者にするように演じたなら、黙して語らないことだ。そんな悪意のある演技を観たくもないよ。
— 見城 徹 (@kenjo_toru1229) 2019年5月12日
私は安倍総理と同じ難病です。発病したのは中学2年、それから寛解再燃を繰り返しています。1日30回以上の下痢・下血。薬の副作用や合併症の不安。お腹痛いだけ、と言われるような病気ではありません。いくら総理が気に入らないからといって病気を揶揄するのは許せない #佐藤浩市
— 浅葱♿️ (@purr888) 2019年5月12日
原作と映画の実写版の設定が違うという点については、他の映画でもよくあることなので、普通ならば観る人が減るぐらいで済む話です。
しかし、映画を楽しみにしていた人にとっては、”先に設定変更したよ”、”俺が言及したのっ”て言われたら、観る気が失せるのは凄く気持ちが分かります。
それが一役者が・・原作が素晴らしいのに、勿体ない。。。といった失望の声に変わったのでしょう。
しかし、もう一つの『結果的に病気を揶揄した設定変更になってしまった』点については、当事者にとってはダメージが大きいものだったと言わざるを得ません。
これが映画の中で結果的に『あぁ腹痛なんだな』とわかるのと、佐藤さんが『自分が設定変更を促して、お腹が弱い設定にした』と言われるのとでは印象がまったく違うと言われても当然だと思います。
何故病気持ちを揶揄したことになるのか?
先に言っておきますが、多くの意見は、映画を見てない人の意見です。
そんな観てない人にとって、役柄設定が自身の病気と重なると言われると、否定的に取る人は必ず存在します。
別に佐藤氏は、役柄設定について誰を模倣したとかは言っていませんが、まっさらの状態で、首相をお腹の弱い設定にしました!と言えば、
お腹が弱い→安倍首相→”潰瘍性大腸炎”→原作を改悪してる?病気持ちをディスってる?
と、悪い方向に捉えられるのは、人の気持ちとして自然な流れだと思います。
人って、反射的に物事の予想に対して最悪を想定しますよね?そうじゃない人もいますが、大概の人はそうだと思います。
それと似たような気持ちで、この映画は首相を模倣してる→反体制の流れだ→設定を被らせて暗に批判してるんだと、気持ちがマイナスに働くのは多くの人が経験あるでしょう。
それが同じ病気持ちの人だったら、尚更です。自身の病気を軽く見られたくないといった気持ちから強く否定的な気持ちを抱くのは仕方のないことです。
いかんせん、多くの人はまだ見てない、発言だけが唯一の情報のよりどころなんです。
しかも佐藤さんは自分が設定変更を促したと言っていますから、言い逃れはできません。
ただ、映画を実際に観た人から言うと『別に批判してるわけじゃない』といった意見も聞こえます。
映画を見たら、また多くの人が意見が変わる可能性もあります。
ただ、現時点での事実としては、見てない人の方が多くて、発言だけが目立ってしまったっていう事実です。
まとめ
佐藤浩市氏がまずいのは、いくらインタビューといえども、首相の設定をお腹が弱い設定にした、と言及した点ですね。
この一言で、"原作ファンの失望"と"病気持ちを軽く見た"という両方の批判を浴びることとなってしまいました。
多くの俳優は、自身に役柄を合わしてもらった際も、原作ファンの事を考えて、黙して語らずが多かったのですが、『俺が設定を変更したの』と言われると、”原作と違うのかよっ”、”しかも俳優の希望でかっ”て、失望する気持ちは分かりますね。
要は佐藤氏の発言も、自分に出来る"成長する首相像を模索しました"ってことを素直に言えば、別に何ら問題は無かったはずです。
それが"俺が設定をしてもらったとなると、『一俳優が設定を改悪した』『病気を揶揄した』など、あらぬ憶測を産むわけです。
設定変更も五万とあると思いますが、それが作品全体を見て、実写版で出来ることは限られているけど、視聴者により強く訴えられるような描写が出来上がりましたって言われるのと印象が全く違いますね。
元はと言えば、インタビュー記事の目的も、映画を観てくれる人を増やす為、観る人に期待感を増幅させるための広告塔だったはずです。
であるならば、発言内容も原作ファンや今後観てくれる人のことも考えて発するべきだったと思います。
いずれにしても、今回の件で読み直した『空母いぶき』は素晴らしい内容だったので、実写版である映画も楽しみにしています。